2010年11月04日

看板考察 No.002 - メタ広告

看板考察 No.002 - メタ広告
第2弾です。
とある街角の貸し看板に貼ってありました。
広告の広告、メタ広告です。

貸し看板の広告は街でよく見ますがこれは一味違います。

よく見かけるのは「広告スペース貸します」ですよね。
「なんなら貸してやってもいいけどねぇ、でもここは人気あるから空き待ちの客も多いしねぇ…」。
私はあの文章を見ると、いつもでっぷりとした成金趣味の悪徳広告屋のイメージが浮かんできます。単なる思い込みなんですが…。

でもこれは貸りてくださいと、頭を下げてお願いされてます。
この看板を見たとき一瞬「えっ、そんなお願いされても…」という思いが頭をよぎります。
人間の良心を刺激する街頭募金に近い手法です。

さらにカラクリがあります。「貸り」です。
この広告はおそらくワープロか何かで作られていると思いますが、PCで「かり」を変換すると「借り」です。「貸り」はありません。
「貸」は「かり」ではなく「かし」=「貸し」、すなわち勝ち組(笑)のことばです。
「貸り」は広告の制作者が意図的に作ったことばなんです。

PCの言う通り素直に「借りて下さい」としたらどうでしょうか?
負け組になって下さい。借金浸けになってボロボロになって下さい。
誰でも借りは作りたくないですよね。

「借」というマイナスのイメージを持ったことばを「貸」で置き換えて、見る人・借りようと思っている人の心理的なダメージを和らげる、とても高度な技です。
パッと見ても何の違和感もありません。私も自分のPCで「かり」を変換してみて初めて気づきました。
もしかすると「貸り」という表現は私たちの周りに当たり前のように浸透しているのかもしれません。気をつけないと借りまっくっちゃいますね。

という訳でこれは、良心を刺激し自然な造語によって心理を操る、非常に巧みな広告看板だと思います。
できればいつまでも貸りられずに作品として残っていてほしいです(笑)。

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Posted by Nakajima at 12:26│Comments(0)看板考察
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